相続事例:相続登記

不動産を取り合う人々

Aさんは母を亡くした際に、兄と2分の1ずつ共有で不動産を相続しました。

そこには、兄とAさんの甥にあたる兄の二男が住んでいました。Aさんは、この不動産を売却し、売却代金を兄と1/2ずつ公平に分けることを、兄と話し合って決めたのです。

 

ところが、売却を具体的に進める前に、Aさんは兄を突然亡くしました。

兄には、2人の子(長男と二男)がおり、この2人が相続人として、兄の不動産の持分を2分の1ずつ相続しました。このため、兄の相続をきっかけに、Aさんは甥2人と不動産を共有(Aさんが1/2、兄の長男・二男それぞれ1/4)する事になりました。

 

Aさんは、兄の相続手続き完了後1年間は、売却するのに猶予を与える旨を、実際に居住している甥と約束しました。

ところが甥は病弱で無職になった事も影響してか、約束の期限を過ぎても居住し続け、さらに甥はご近所とのトラブルメーカーとして問題行動をしていました。

 

近隣住民や管理組合から、Aさんが直接クレームを受けるようになりました。

Aさんは何か事が起きた時に持分を所有している自分にも責任が及ぶのでは無いか、また自分が亡くなった時に妻や子供が不動産を相続してしまったら面倒な事に巻き込まれてしまうのでは無いか、と心配するようになりました。

 

 

相続手続支援センターに事後の相談として、Aさんが来られたのは、以上の理由があったからでした。

 

Aさん単独で持分の売却等を行うのは実質不可能なので、相続手続支援センターはAさんに4つの提案をしました。

 

  1. 甥達を改めて説得し共有者全員で約束通り第三者へ売却し代金をもらう。
  2. Aさんの持分を居住している甥に買ってもらう。
  3. 持分を甥に贈与する。
  4. 遺言書を作成し甥に遺贈する。

 

母から相続した当初は、Aさんも売却代金がもらえればという考えでしたが、今はトラブルに巻き込まれたくない事が第一優先で、持分を手放せるのであればどんな方法でも良いという考えになった為、これらのご提案をしました。

 

提案後、Aさんはこれから甥達とのお話合いを進める決心をされたご様子でしたが、どの方法にしても甥の同意なしには進めることが出来なくなってしまった為、居住していない不動産を共有名義で相続するデメリットを強く感じられたようでした。

 

 

>>「相続登記」業務内容はこちら